発想法―創造性開発のために
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システム手帳でも役に立つ「KJ法」の本

5.0 69
  • 総合: 5.0点
  • わかりやすさ: 5.0点
  • 文章力: 5.0点
  • ストーリー: 4.5点
  • キャラクター: 4.5点
  • 世界観: 4.5点
  • 演出: 5.0点

良いと感じた点・楽しめた点

この本はわりと実用面で役に立っています。名刺大の「情報カード」をかつようしたアイデア整理法「KJ法」で有名な本らしいのですが、私が知性や知的生産とは程遠いところで生活をしているので、読む前はどうせ「ふーん!」「へー!」「ほー!」とはなるものの、それだけで終わってしまうのでしょう? などと思っていたのですが、「KJ法」の開発の経緯や、その思考を著者がしっかり書いてくれているので、ごく一部のアイデアはいまだに実践したりしています。

具体的には私がシステム手帳を長年使ったり使わなかったり、けっきょくシステム手帳に戻ってきたりしているのですが、手帳運用に役立っています。KJ法のルールのなかに

「情報カードはもったいなくても片面しか使わない! 裏面にも書いてあると並べて考える作業がはかどらないから!」

というものがあるのですが、それを読んで「なるほど……たしかに!」と思った私は、それまでシステム手帳の左右のページの両面にびっちり文字を書き込んでいたのですが、それ以来「左ページの片面」にしか書かなくなり(※左利きのため)、ページ数はどうしても食いますがすごく参照がしやすくなって、書きっぱなしということが減り、以来ずっと定着しています。これだけでも元は取れているのではないかなと思いました。手帳とか記録は私は大好きで四六時中なんか書いてる病なのですが、書いただけで読み返さないのと、ちゃんと読み返して反省したり改善に活用しているのとでは大違いなので、これができるようになったことも大切でしたが、これによって自分のやることにまたひとつ「自信がついた」のも大きな収穫でした。

「KJ法」は「思いついたアイデアをカードに書いて並べて整理する」というアナログ手法ですが、この本の中には他にも情報整理のためのアイデアがたくさん書かれているので、付箋紙やパソコンなどのデジタルツールに置き換えても基本的な考えは変わりませんので、一読の価値はいまでもすごくあるとおもいます。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

この本が悪いということはないですが、やはり、いまはパソコンやスマートフォンの中で情報を整理することが圧倒的に多いので、いまだに紙の手帳を使っているというのが根本的に問題かなあとは思いました。

しかし、紙の手帳は電源はいらないので災害時もバッテリー切れの心配はないし、アップグレードしたら互換性がないのでアクセスできなくなるということもないし、ちゃんとした中性紙を選んでおけば基本20年くらいは余裕で無電源・常温・多少湿度のある環境でもそこそこ保管できるというのはいまだに大きなアドバンテージでは? という気もしました。あと個人的に私がとても動揺しやすい性格なので、手書きの手帳は当時の精神状態、健康状態、疲労状態を客観的に把握するのにとても役に立ちます。あっ、大丈夫とか思ってるけどやっぱり疲れている。判断力が低下しているだけだ。今日は早めに休んだほうが良い! という風に自分をフォローすることができるんです。

職場で手帳を出していると、場合によっては「いまだに紙の手帳なの」「ふつうスマートフォンでしょ」「俺はそうしてるよ」などと煽ってくるネタにする人もいますが、やっぱり紙の手帳は有用だと思います。

総評・全体的な感想

この本に限らず私はわりと昔の本も好んで読んでいますが、カジュアルな話し言葉に近い現代語で書かれた本よりも一昔前のこういった時代の本が読みにくいかもしれないけど日本語が心地よくて好きです。

話し言葉も平たい言い回しは「伝わりやすさ」では上なのですが、誤解の少ない書き方など誠実に伝えるための技術としては、以前の本のほうが優れているような気がしていて、やや漢字の分量が多かったり、活字が小さく詰まっていたり、改行が少なくて一段落の圧迫感がすごかったり、最近では使われなくなったような表現が含まれていても、読んでいて「ん????」「複数の意味に読み取れるんだが????」と戸惑って読書が止まってしまうことが少ないです。

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