こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2025.08.08限られた時間を、どう生きるか
良いと感じた点・楽しめた点
・休暇で訪れた美しいビーチが、人生の残り時間を急速に削っていくーー
奇妙な設定に定評のあるM・ナイト・シャマラン監督が描くのは、「時間」という人類共通の運命への恐怖と、それを前にした人間の選択だった。「時間が以上に早く進む」というSF的現象をホラーやサスペンスの文脈で見事に描き切っている。
あまりの臨場感に、終始ハラハラさせられること間違いなし。
・恐怖や混乱の中で見えてくる、人間のやさしさ、醜さ、あきらめ、そして愛。
老夫婦の会話は必見だ。宇宙規模でみれば、人の一生などほんの一瞬にすぎない。しかし、その一瞬をどう生きるかは、やはり自分次第なのだと感じた。
・時間の流れを視覚的に感じさせる撮影と編集が秀逸。人体の異変などもありありと描写している。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
・設定が奇抜なので、細部のつじつま合わせや説明がやや粗い部分もあった。しかし、それを上回るストーリーの力とラストの納得感があったため、観終わった後はむしろ満足感が残った。
・動物(犬)が死んでしまう描写があるので、人間が死ぬのは別にいいが動物が死ぬのが耐えられない、という方にはお勧めできない。もちろん死人も結構出る。
・その他、お茶の間が凍り付くようなシーンがあるので視聴の際は一人で見ることをお勧めします。
総評・全体的な感想
この映画は、ただ不気味でじわじわ苦しめられるだけのホラー映画ではない。
「時間とは何か」「人生とは何か」を強く問いかけてくる作品だ。目に見えないものーー家族の絆や愛情、信頼ーーが、極限の状況ではどれほど重要かを
思い知らされる。
「限られた時間をどう生きるか」という問いに、明確な答えはない。
けれど、この映画を見終わったとき、きっとあなたは自分の大切な人の顔を思い浮かべるだろう。
その瞬間こそが、この物語が私たちに残した「答え」なのかもしれない。