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【第1話】エルフの魔法使いが過去と現在に向き合いながら「人を知る」為に長い旅路を歩む物語

5.0 17
  • 総合: 5.0点
  • わかりやすさ: 4.5点
  • 映像: 5.0点
  • 脚本: 5.0点
  • 声優: 4.5点
  • 音楽: 3.5点
  • 演出: 4.5点

良いと感じた点・楽しめた点

・キャラクターの心理描写が丁寧:主要キャラクターだけでなく、サブキャラクターの過去や心情が丁寧に描かれています。特に、長寿であるフリーレンと短命である人間との「時間の流れ方」の違いが、セリフや行動から深く感じられます。

・美しい作画と演出:背景美術の美しさ、魔法の描写の迫力、キャラクターの表情の繊細さなど、アニメーションとしての完成度が非常に高いです。特に、フリーレンがヒンメルを想って涙を流すシーンや、魔法を放つシーンは印象的です。

・フェルンとシュタルクのやりとり:真面目でしっかり者のフェルンと、臆病だけど心優しいシュタルクの、まるで夫婦漫才のようなコミカルなやりとりは、シリアスな物語の中で良い箸休めとなっています。

・フリーレンの魔法収集:くだらない魔法(例:花畑を出す魔法)を集めているフリーレンの姿は、彼女の人間くささを感じさせ、笑いを誘います。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

・物語の進行速度:全体的に物語の進行がかなりゆっくりとしておりほのぼのとして良い部分もある一方で、一気に物語が進むことを期待している視聴者にとっては、割と物足りなく感じるかもしれません。

・魔族の生態:魔族が人間を騙して殺すことに執着する理由や、なぜ魔法を使うのかといった、魔族の根本的な生態について、もっと深く知りたいと感じる部分があります。

・魔法の体系:物語の中では様々な魔法が登場しますが、その分類や法則性が明確に説明されていない部分があります。魔法使いとしてのフリーレンやフェルンの強さの根拠が、より深く分かるともっと面白そうです。

総評・全体的な感想

『葬送のフリーレン』は、魔王討伐後の世界を舞台に、エルフの魔法使いフリーレンが「人を知る」ための旅をする物語です。時間の流れに対するエルフと人間の価値観の違いを丁寧に描き、深い感動とノスタルジーを視聴者に与えます。

本作の最大の魅力は、その独特な物語構成にあります。一般的なファンタジー作品が冒険の始まりを描くのに対し、本作は冒険の「終わり」から始まります。勇者ヒンメルとの出会いと別れを通じて、フリーレンは人間とエルフの寿命の差、そして「時間」の重みを痛感します。過去を振り返りながら、かつての仲間たちとの思い出を辿る旅は、視聴者にも人生や人との出会いの大切さを深く考えさせます。

また、美しい作画と心温まるキャラクター描写も本作を傑作たらしめる要素です。フリーレンのどこか人間離れした性格や、真面目で少しおっちょこちょいなフェルン、臆病ながらも勇敢なシュタルクなど、どのキャラクターも個性的で魅力的です。彼らの成長と交流が、物語に温かみとユーモアを出してくれています。戦闘シーンの迫力や魔法の描写も秀逸で、ファンタジーとしての面白さも十二分に備えています。静かで哲学的な物語でありながら、冒険やアクションの要素もバランス良く盛り込まれているため、幅広い層が楽しめる作品と言えるでしょう。

過去と向き合い、未来へと進むフリーレンの姿は、私たちに多くの感動と気づきを与えてくれます。これは単なるファンタジーではなく、人生そのものを描いた珠玉の物語です。

名セリフ

  • たった10年しか一緒にいなかったのに

    勇者ヒンメルの葬儀でのことです。1000年以上生きるエルフであるフリーレンにとって、ヒンメルたちとの10年間の旅は、人生のほんのわずかな時間に過ぎませんでした。

    フリーレン葬送のフリーレン

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