LAMB/ラム
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「母性」と「自然」の歪な対話。美しい静寂に潜む恐怖……。

4.0 17
  • 総合: 4.0点
  • わかりやすさ: 2.0点
  • 映像: 5.0点
  • 脚本: 5.0点
  • キャスト: 5.0点
  • 音楽: 5.0点
  • 演出: 5.0点

良いと感じた点・楽しめた点

・圧倒的な自然描写

アイスランドの絶景が美しすぎて、息をのむ。台詞の少なさが、余計に風の音や羊の鳴き声を引き立てる。

・羊たちが表情豊かで、かわいく感じられてくるだろう。それが悲劇の始まりなのだが……。

・ノオミ・ラパスの演技がとにかくよい。母としての複雑な感情を、言葉なしに見事に表現しきった。

・人間のエゴと自然への冒涜、そして「母性」という本能の闇をえぐるサイレント・ホラー。純粋な愛情と狂気の境目が曖昧で、羊人間アダやマリアがいとおしく感じる瞬間もありながら、どこかじわじわと足元を這いずり回るかのような恐怖が観る人に襲い掛かるだろう。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

・北欧映画にありがちだが、展開は非常にスローペースで、耐性がない人にとっては退屈に感じられるかもしれない。映画自体は106分なのでそこまで長いわけではないが、見慣れていないと本作を視聴するのはやや厳しいだろう。

・全体的にほぼサイレント映画で「説明されない」ことが多く、すべてを単純明快に理解したい人にとっては、フラストレーションを感じてしまう恐れがある。

しかし、様々な解釈の余地があるのも本作の魅力ともいえるだろう。ぜひ最後まで視聴して、考察を楽しんでいただきたい。

・動物が殺されてしまう描写があるので、苦手な方にはおすすめできない。

総評・全体的な感想

アイスランドの農村で暮らす夫婦、マリアとイングヴァル。ある日、羊の出産を手伝っていた彼らは、「奇妙な奇跡」を目にする。

とある悲しみを抱える夫婦は、その存在を家族として受け入れることに。

無言の自然、風景、そして羊たちが日常を包む中、静かに、そして確実に何かが狂い始めていくーー。

本作は、ジャンル分けが難しい。ホラーであり、寓話であり、宗教的メタファーを盛り込んだ神話でもある。

一つだけ言えることは、この映画は「人間とは何か」を常に問いかけてくるということ。

母性とは?命とは?自然との関係とは?

静かな恐怖がじわじわと迫ってくる、そんな一作だった。

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