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2025.02.24アニマルシェルター(動物保護団体)に保護された、シーズー犬こんちゃんが、聴導犬になるまでのドキュメンタリー
良いと感じた点・楽しめた点
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
総評・全体的な感想
2009年6月頃、生後9ヶ月のシーズー犬こんちゃんは、大阪府豊能郡能勢町(とよのぐん・のせちょう)にある「アーク・アニマルレフュージ関西」という動物保護団体に預けられました。アークは飼えなくなったり、捨てられたりした犬や猫を預り、新しい飼い主を探す保護活動をしています。こんちゃんの飼い主さんは、子供が犬アレルギーになったからという理由で、こんちゃんをアークに預けて手放しました。
そのアークでこんちゃんは、運命を変える人物と出会います。その人は日本聴導犬協会の矢澤昌子(やざわ・まさこ)さんでした。聴導犬のベテラン訓練士でもある矢澤さんは、こんちゃんを見た瞬間、直感的にこのシーズー犬は、聴導犬に向いているかもしれない、と思いアークのスタッフに、あの犬は性格がおだやかなので、聴導犬の候補にならないか、見せて頂いてよろしいでしょうか?とたずねました。そしてこんちゃんは、矢澤さんの審査で聴導犬候補のテストを受けました。テストの結果はすべての項目でほぼ合格。こんちゃんの優秀さに驚いた矢澤さんは、さっそく日本聴導犬協会の有馬(ありま)会長に報告しました。後日改めて受けた、有馬会長による再テストの結果も合格。
2009年6月28日から、こんちゃんはアークを離れて、長野県上伊那郡宮田村(かみいなぐん・みやたむら)の日本聴導犬協会の施設で、聴導犬になるための訓練を受けるようになりました。まずは東京のソーシャライザーさんの家庭で、数ヶ月愛情をたっぷり受けて、人間との生活を経験して、人間への不安を取りのぞいてから、日本聴導犬協会の施設に戻り、基礎訓練を受けるようになりました。
2010年3月こんちゃんは、聴導犬のPRイベントの会場で、パートナーとなる桑野仁美(くわの・ひとみ)さんと、はじめて出会いました。仁美さんは中途障害者でした。大学時代から少しずつ聴覚に障害があらわれ、同時に足の股関節の痛みもあらわれ、歩行が少し不自由になりました。それでも補聴器を使えば、日常生活を過ごせたのですが、社会人になり旦那さんの剛(たかし)さんと結婚した頃になると、左耳の聴力が補聴器を使っても、聞きとれないほど低下して、仕事が続けられなくなり、自分だけで外出することも、ほとんどできなくなりました。不安を感じた仁美さんが、ネットで情報収集しているうちに、聴導犬の存在を知りました。そして3月6日、仁美さんは旦那さんの剛さんといっしょに出かけた「耳の日記念文化祭」で、聴導犬のPR犬をしていた、こんちゃんと出会ったのです。
それから2011年1月、仁美さんは日本聴導犬協会に、聴導犬ユーザーの申し込みをしました。同年4月7日日本聴導犬協会のスタッフは、一頭の聴導犬を連れて、埼玉県の仁美さんの家を訪ねました。どんな環境で聴導犬を飼うのか?様子を見るために。その時スタッフといっしょに同伴していた聴導犬が、こんちゃんだったのです。日本聴導犬協会のスタッフが、仁美さんとペアを組む聴導犬候補に、選んだ子がこんちゃんだったのです。
そして5月8日から2週間、長野の日本聴導犬協会の施設に泊まりこんで、仁美さんとこんちゃんの「滞在訓練」がはじまりました。犬を飼った経験がない仁美さんは、おしっこやウンチ💩のさせ方、シャンプーやブラッシングの仕方など、犬のお世話の仕方から、犬と歩く練習など、覚えなければいけないことばかり。滞在訓練の後は少し休んで、6月19日から仁美さんの家で自宅訓練。この自宅訓練は何回も行われます。その間スタッフは定期的に訪問してチェックとフォローして、認定試験が受けられるレベルになるまで、自宅訓練は繰りかえされます。
2012年2月、仁美さんとこんちゃんは、ついに認定試験に挑みました。認定試験はユーザーが聴導犬を使いこなせるかどうかを、中心にして判断されます。こんちゃんのアゴの骨折のため、認定試験日が予定日より延期される、というアクシデントがありましたが、仁美さんとこんちゃんは、認定試験に無事合格しました。こんちゃんの聴導犬用のオレンジ色のコートには、聴導犬の認定番号と認定年月日が書かれた、聴導犬認定証がつけられました。引きこもりがちだった仁美さんは、こんちゃんを連れてコーヒーショップや図書館に出かけて、外に出られるようになりました。
けれど2017年になると、仁美さんの体調はさらに悪くなりました。左耳だけでなく右耳の聴力も落ちて、両耳ともほとんど聞こえなくなりました。手足のしびれと痛み、肩の痛みや疲労感に悩まされた仁美さんが、検査入院したところ「ミドコンドリア症」という、1万人に1人の難病にかかっていることがわかったのです。この病気の症状は体のどこに出るかわからない。脳や心臓や筋肉に影響が出てうまく働かなくなる。仁美さんの聴力低下や股関節の痛みも。この病気のせいだったのです。しかもこの病気の治療法は見つかっていません。症状をおさえる薬を飲んだり、食事の栄養に気をつけるしかないのです。病気の症状が強い日は、こんちゃんを抱っこすることさえできない。でも仁美さんとこんちゃんの生活は、二人三脚ならぬ二人六脚で、今日も続いていくでしょう。そして聴導犬こんちゃんは、難病に悩む仁美さんの大切なパートナーとして、これからも仁美さんを支えていくでしょう🐶