こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2025.07.30本により他界し、本の為に再び生き、本の為に世界を変える物語。
良いと感じた点・楽しめた点
【物語】
・小説版の巻数が多い分、もの語りの深みがある。アニメ版と違い、主人公含めた登場人物の深層心理の描写が細かく書かれていて感情移入もしやすいので、サクサクと読むことができます。
・ここでは『貴族』と『平民』での関係性が他の作品と比べてかなり格差を感じる、もちろん何故そこまでの格差があるのかの説明もしっかり書かれていて、ただ貴族だからとかただ平民だからと簡単に差別化していないところに共感を持てる作品でもあります。
【人物】
・主人公の感情表現が豊かなので、ずっと同じテンションで淡々と話すのではなく、テンションが上がるところや落ち込むところがハッキリかつ事こまやかに描写されているので読んでいて飽きません。
・『フェルディナンド』という神官長が主人公以外での重要な役割を持ち。個人的には第二の主人公として応援したくなる程の魅力的なキャラクターも登場する。
【人間関係】
・主人公は基本的に『本』以外は全く興味がないが、ある出来事を境に『家族』に対する異常な執念が生れる。この執念のおかげで序盤主人公に共感を持ていなかった読者たちも、彼女に共感を持てるようになり、今後もこの作品を読んでいこうと心を動かされる。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
【主人公の性格】
・折角前世の日本の知識が沢山あるのにほとんどその知識を生かしていなく、本以外の興味がなさすぎるあまり関連するもの以外知識が使われなくもったいなく感じる。
・あまりにも自己中心的過ぎる発言が多すぎてイライラさせる行動をすることが多い。
【登場人物】
・序盤の登場人物(特に平民)がほぼ何も考えず行動し、主人公視点から見るとアニメも小説も等しくいらだたせる行動が多くみられる←わざとこういった表現をされていると思いますが。それは読み進めないと作者の意図が気づけないかもしれません。
総評・全体的な感想
『本好きの下剋上』小説版は、物語の深みやキャラクター描写の豊かさにおいて非常に魅力的な作品ですが、一方で主人公の性格や行動に関する不満が残る点もあります。
特に主人公が前世の知識をフルに活かさない部分や、自己中心的な発言が多い点が読者をイライラさせる要因となっています。
また、序盤の登場人物の行動に対する違和感も、物語が進むにつれて意図が明かされるものの、最初は少しストレスを感じるかもしれません。
とはいえ、物語が進むにつれて主人公の成長や他のキャラクターとの関係の変化が描かれることで、感情移入できる場面が増えていき、
最終的には魅力的な作品として受け入れられる部分が大きいと言えます。