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2024.11.13好きはきれえな花みたいやし~ダメな男を好きになる、ダメな女達の純な恋バナ
良いと感じた点・楽しめた点
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
総評・全体的な感想
西原理恵子の漫画作品。
2006年に新潮社から出版された。
2010年菅野美穂(かんの・みぽ)主演、吉田大八(よしだ・だいはち)監督で実写映画化された。主人公なおこが恋している彼の設定が、西原理恵子の原作漫画と違っているけれど、基本的には西原理恵子の原作漫画の世界観を(強烈な下ネタギャグも含めて)忠実に再現しているので、西原理恵子ファンは実写映画版も楽しめると思う。
原作漫画版「パーマネント野ばら」の物語の舞台は、とある漁港を持つ田舎の村。
モデルになった場所はおそらく、西原理恵子が幼少期を過ごした高知県の浦戸だろう。
主人公のなおこはバツイチで、実家の母親が経営する村に一軒だけの美容室、パーマネント野ばらの仕事を手伝いながら、一人娘のももちゃんを育てている。
そんな毎日を淡々と生きるなおこは、年の離れた彼に恋をしてデートを楽しんでいる。
「パーマネント野ばら」に登場する女達は、主人公のなおこも含めて男運が悪い。
なおこの母親もバツイチで、替えの男のおっさんを見つけて再婚したが、そのおっさんが浮気して、近所のナス農家のばあさんと同棲してから、ずっと鬼のように怒っている。それは浮気相手のナス農家のばあさんが、自分よりはるかに年上でブサイクだからだ。
なおこの女友達も男運が悪い。村に一軒だけのフィリピンパブを経営するみっちゃんは、ダンナの浮気に振りまわされたあげく離婚した。ともちゃんの別れた元ダンナは、山の中の小さな一軒家で、ビールびんみたくひからびて一人でのたれた。元ダンナがのたれた山の中の一軒家は、原作漫画版「パーマネント野ばら」の中で、その家にひっかかった朝露が一本のおせんこうのように空にあがっていく…と美しい詩のように表現されている。
「パーマネント野ばら」は、ダメな男に振りまわされてしまう、ダメな女達のカッコ悪い恋バナだ。村に一軒だけのジュータンパブのゆきママは、60歳の今恋をしている。ゆきママは言う。最後の恋やと思うんよ。なおこも、みっちゃんも、フィリピンパブで働くメアリーも、ゆきママの孫娘みこちゃんも、ゆきママの恋を応援している。みんな恋の話が大好きで、何時間だって話せるし、何百回だって空想して泣ける。ゆきママの恋の話は私達のチョコレート。でもゆきママの恋は、あっさりと破局する…
うちなあ、ホンマまだあの逃げた男のことあきらめきれへんのよー夜もさびしいし昼もさびしいしー、泣きじゃくるゆきママを、なおこはみっちゃんと見守る。
ゆきママとなおことみっちゃんの三人に、なおこの母親は、なおこー年いったらほんまに男がいらんなるでーはよこっちきて楽になりや、と笑いながら言う。
私達もはやく楽になりたいよ…困ったような笑顔で応える三人。
ほんまにねーカナダライに落ちた虫みたいやなー今のわしら。かしゃかしゃと何やっとんのやみっともない、と言って笑うみっちゃん。
なおこも笑いながら思う、.本当だ。あなたにあいたい気持ちはタライに落ちた虫のようだ。
みっともなくてカッコ悪くて情けない、ダメな男とダメな女のあけすけな恋バナ。
例えるなら海外ドラマ「セックス・アンド・ザシティ」の舞台を日本の田舎にして、出演者を白人の女優から日本人のおばさんにしたような(笑)
でもみっともなくてカッコ悪くて情けなくても、まあ恋ってそんなもんだし、人間ってそんなもんだよね…としみじみと思う。
「パーマネント野ばら」の最後は、飲んだくれるみっちゃんに、なおこの母親が声をかけて終わる。ええやんかあんたの好きにしたら、そばに好きがあったら人生毎日正月やで。
好きはきれえな花みたいやし。
強烈な下ネタギャグや、どうしょうもない現実を描いても、要所要所に詩のような美しい言葉を添えて、叙情的な雰囲気を漂わせる。その美しい余韻に浸るのも、西原理恵子作品の魅力であり、楽しみ方でもあると思う。
好きはきれえな花みたいやし。
私も好きな言葉です。