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19年の年月を重ねても色あせない、藤田和日郎作品の魅力

レビザル
5.0 22
  • 総合: 5.0点
  • わかりやすさ: 5.0点
  • 映像: 5.0点
  • 脚本: 5.0点
  • 声優: 5.0点
  • 音楽: 5.0点
  • 演出: 5.0点

良いと感じた点・楽しめた点

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

総評・全体的な感想

「うしおととら」のテレビアニメ化を知った時、なぜ今さら?と思った。

その理由は単純だ。週刊少年サンデー誌で藤田和日郎の原作漫画「うしおととら」が、連載されていた期間が1990年6号~1996年45号。その原作漫画が完結してから、19年の年月が過ぎた2015年7月、テレビアニメ版「うしおととら」の放映が開始されたのだから。

それに藤田和日郎の独自の世界観を、本当にアニメで再現できるのか?

あの藤田和日郎の絵を、本当に動かす事ができるのか?とも疑っていた。

でもテレビアニメ版「うしおととら」のオープニングを見た瞬間、私の疑念は見事に消滅して、むしろこれは凄いアニメになりそうだ!という手ごたえを感じた。

そして藤田和日郎の原作漫画「うしおととら」を、初めて読んだ時の衝撃を思い出した。原作漫画版「うしおととら」を初めて読んだ時に感じた、まるで空間がグニャリと歪んでいるような奇妙な違和感を、テレビアニメ版「うしおととら」にも感じた。

藤田和日郎の絵をよく見ると、細部までしっかり描きこんでいるのに、全体から受ける印象は大胆で力強く、凄まじい迫力がみなぎっている。作中に出てくる妖怪変化の不気味さも見逃せない。主人公の蒼月潮でさえ獣の槍(けもののやり)を使う場面では、黒髪がとてつもない長さに伸びて振り乱れ、目つきも鋭く尖って異形の身になってしまう。

テレビアニメ版「うしおととら」は、藤田和日郎が描く独自のダークファンタジーの世界を、オープニングだけでなく本編でも見事に再現してくれた!と感じた。

大妖怪とらが雷撃を放つ場面を見ただけで、私はもう充分楽しめた。

でもネットの反応を調べると、ストーリー展開が急ぎすぎて、キャラクターに感情移入できない、キャラクターの心理描写が浅い、原作漫画で人気キャラの凶羅(きょうら)の出番がほぼない。などテレビアニメ版「うしおととら」を、批判する声が見受けられた。

確かに私もテレビアニメ版「うしおととら」を視聴していて、そう感じた瞬間があったので、ネットの批判にも納得できる。

けれど連載期間6年、単行本全33巻の原作漫画を、テレビアニメ版で全39話にまとめようとすれば、ストーリー展開が急ぎすぎたり(内容を詰めすぎたり)人気キャラの出番がカットされるのも、まあしょうがないかな?と思った。

基本的に絵も物語も原作漫画版「うしおととら」に忠実で、最初に私がはっ!心を打たれた名場面…取り憑いた人間の体をじわじわと石に変えて、その恐怖心を楽しみながら喰う妖怪石喰いと、石喰いに体を石に変えられる恐怖心に耐えながら、負けるもんか!と必死に抗うヒロイン中村麻子の姿…それから日本を滅ぼす大妖怪の白面の者(ラスボス大妖怪)との最終決戦も、見事に描いて完結させてくれて、私はテレビアニメ版「うしおととら」を大満足できる素晴らしい作品だと思いました。

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