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こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。

玉サブローがかわいい

4.0 85
  • 総合: 4.0点
  • わかりやすさ: 3.5点
  • 画力: 5.0点
  • ストーリー: 3.0点
  • キャラクター: 5.0点
  • 世界観: 5.0点
  • 演出: 4.0点

良いと感じた点・楽しめた点

※すごくネタバレしています。

なぜか数年毎に再読している作品です。私は小説や漫画に創作物に動物のキャラクターが出てくるとだいたいそのキャラクターが好きになりますが、玉サブローに会いたくなると「七色いんこ」を読んでいます。

玉サブローはちょっと癖のあるキャラクターですが、初めて読んだときから「かわいい!」と思っていて、何回再読しても毎回かわいいので満足して本を閉じています。ストーリーの途中で玉サブローが火付け役となったつけまブームにもなりますが、玉サブローの見た目がかわいいのもそうですが、他の登場動物を助けたり、ふだんは変な行動ばかりして主人公のいんこを困らせているけど、本来の性格はすごくちゃんとしたいい子だというところがすごく好きです! 近年手塚治虫作品のいろいろな新作グッズが毎年のようにたくさん発売されていますが、玉サブローグッズを見かけることは稀で貴重なので、なおさらコミックスの再読に走っている気がします。

玉サブローを除くと、私にとって「七色いんこ」の魅力的な点は正直少ないです。なぜなら、恋愛コメディものが苦手なので、メインのストーリーの筋についていけないのです……。千里刑事がかわいいのは私にもよくわかるんですけど。また、終盤のトミーのエピソードもよかったです。しかし、作品を読んでいても個人的にはそれほど古い作品のようには感じずに楽しめるのですが、トミーのエピソードを読むと、主人公の直近の師匠で、ついこのあいだまで(数年前までだったかも)いっしょに暮らしていた人が戦争経験者となると、やはりだいぶ以前の作品なのだという実感がわいてきます。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

ストーリーの中盤でいんこが知らず知らずのうちに体調を崩してから、その象徴として登場してくる「ホンネ一家」は、コメディのようなノリで悪辣な言動を繰り返して非常に不穏な存在感を放っていて、時にはいんこは「ホンネ」のために本当に散々な目に遭っています。このキャラクターは好き嫌いがわかれるんだろうな~、と思いながらも毎回きっちり目を通していますが、これもきちんと目を通していて良かったと思っています。なぜなら主人公のいんこは最後まで読むとわかりますが、本編の中でずっと本来の自分が出したくても出せないさまざまな事情を抱えているので、本人の立場からするとかなり苦しい生活を送っているのです。それが「ホンネ」というキャラクターによって、読者はいんこの内面を限定的ながらもうかがい知ることができる仕組みになっているのだと思います。

「おまえのホンネはまだねたいのだろう!! 心にもないことをするなっ」

など、ところどころ「ホンネ」といんこの会話が挿入されているのですが、キャラクターの名前といい、すごく示唆的だと思います。

総評・全体的な感想

「七色いんこ」の連載当時(現在2022年なのでほぼ40年前ですね)は、世間的にも演劇ブームだったようです。私は一時期、1980年前後当時のサブカル雑誌を古書店から収集して当時の演劇ブームの様子を調べようとしたことがありますが、「七色いんこ」にもその影響がなんとなく感じられた気がしました。私の気のせいかもしれませんが、劇団にもよるのでしょうが、当時は若い女性の俳優志望の方がとてもたくさんいたのでそれだけで非常に華やかな様子があり、男性の俳優はすこし貴重なところがあったとも聞いてます。「七色いんこ」では、各話の中でさまざまな古典や名作が上演されていたり、それと並行して本編のストーリーとしていろいろなドタバタが展開していますが、女性の登場人物が比較的多い気がしていて、そのあたりに当時の雰囲気がなんとなく反映されているのでは? と思っています。そういう意味でも興味深い作品です。

それと、個人的に最近(今年)になって玉サブローについて調べていたら気が付きましたが、玉サブローって「白い犬」だったんですね! 知りませんでした。なぜか「白茶色の犬」だと思っていました……。

名セリフ

  • ウォゥムウィィ~グルゥゥムォゥィー アウフーウワァムフゥオエー

    「犀」にて、犀(さい)役が不満でヤケ酒をするシーン。「お酒が足りない」といんこに要求している様子。

    玉サブロー七色いんこ

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