こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2022.12.02【第6巻】美人でかわいいけどむずかしすぎる亜子さんが出てきて好き
良いと感じた点・楽しめた点
石川美加ちゃんと同じくらいお気に入りの「亜子さん」が出てくるので6巻以降は大好きです。
初期の服部君とちがい、明確に肉丸くんと魔子ちゃんの仲を引き裂くことを宣言して理事長の権力もフル活用して行動するので、非常に不穏なキャラクターとして描かれているのですが、なぜか亜子さんは怖く感じないので、ずっと楽しんで読めます。ただ、彼女が登場すると家族につねに緊張感が走り、全力で気を遣わせても暴言暴力、爆発や暴走が止められない描写がしっかりされていて、とてもリアルに感じました。著者は大学生でこの連載を始めたのでこのときもまだまだ若かったのに、大人も含めたさまざまな家族の姿の描写ができていて、すごい観察力だと思いました。また、これだけ複雑な大人を描いていると読者に重く感じさせてしまいやすいと思いますが、あまり重さを感じさせないでギャグタッチの漫画の延長線上で気軽に読ませる力があるのもすごいと思いました。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
ないですが、登場人物が多くなって大人数で行動して展開も早いとなると、コマの中で細かく詰め込んで書かれてしまって、一人一人をクローズアップする機会がどうしても減ってしまうのが、もったいないと思いました。
総評・全体的な感想
よく気をつけて見ていると亜子さんは社会的地位も美貌もキャリアも他のものは何でも持っているのに、精神的に深く傷ついたままで「大人」を生きている人なんですよね。少年誌にこういったキャラクターが登場できるというのも驚きです。当時の読者はどう受け止めたのだろうか、と思いながら読んでいました。子どもにとってはこのタイプの大人はいるだけでも傷つく気がします。子どものほうが大人として相手に配慮する言動を強要される形になってしまうし、非常に理解に苦しむ存在だと思うんですが……。
また、6巻では亜子さんが登場したことで学園漫画に戻ったので、初期メンバーがそろって忍者の格好でドタバタする様子がふたたび見られるのもうれしいです。