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こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。

【第4巻】役者が揃ってきていよいよ盛り上がってくる

3.0 58
  • 総合: 3.0点
  • わかりやすさ: 1.5点
  • 画力: 4.0点
  • ストーリー: 3.5点
  • キャラクター: 5.0点
  • 世界観: 4.0点
  • 演出: 5.0点

良いと感じた点・楽しめた点

※私の手元にあるのは講談社漫画文庫版です。

3巻ではタイムスリップしながらいろいろな時代を渡り歩いてすっかり青年の雰囲気で描かれていたのに、4巻はまた現代に戻ってきて高校生らしく海水浴に来てはしゃぐお話に戻っていて、雰囲気がガラッと変わっていて驚きます。飛鳥了くんもまた雰囲気が一段変わっていて、1巻とはまた違う意味で不穏な雰囲気が出てきていて、いっぽうで世間では一般人のデーモン化が着々と進んでいて、元の路線にもどっていくので良い意味で目まぐるしく、ついていくのが大変です。

大混乱に次ぐ大混乱の4巻ですが、ここから3巻の蜘蛛のときに出てきた不良グループたちやサイコジェニーさんも活躍し始めるので、にぎやかでいいと思いました。ここまでは人間関係といえば、素朴な少年少女の感情描写が中心で、個性豊かで超人的なデーモンたちの圧倒的な熱量に比べるとやや希薄気味だったのが、人間みのある描写が増えてきて良いです。また、各国の重要人物たちも悪魔になってしまうのですが、悲劇的な一般人たちの様子に比べると、ちょっとファニーな見た目になっただけであまり変わってなさそうな(P126「そのときは全面戦争をはじめるぞ!」と言っている人の後ろで突っ立ってるだけの人とか……)、やや深刻さに欠けた描かれ方をしている気がしました……。

また、飛鳥了くんはどんどん女性的になっていたのが、4巻の後半からまた1巻のときのようなヒヒヒ! みたいな狂気が戻ってきていて、いいと思います。一方でよく見ると主人公を救出して介抱して、主人公が目を覚ましたときにはまたやたら安らかな表情になっていて、細かいところまでよく見て楽しめます。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

「悪特隊(悪魔特別捜査隊)」の権威の雷沼教授が巻末から出てきますが、3巻・4巻と描写がどんどん緻密になってきていたのに、また荒削りのサラサラした描写になっていて、狂気の雷沼教授のバックグラウンドや心理描写が駆け足で省略されているように見えるのが気になりました。遠目には紳士然とした佇まいだけど、眼光だけが爛々とした、おそらく実年齢よりもしわの多い顔の人物として描かれている気がしたのですが、それ以上の情報がないので、もう少し詳しい描写が読みたいと思いました。

総評・全体的な感想

登場人物が揃ってきて画面がにぎやかになってきたり、謎だった部分や予想だけだった部分がどんどん現実化して表に出てくるので、冒頭の「もう高校生なのに気弱すぎるくらい善良な主人公と、気弱すぎてちょっともどかしく思っているけどそんな主人公が大好きで気が強い美樹ちゃん」というシンプルな学園生活がだいぶ遠ざかった感のある高密度で読みごたえのある内容になっていて、大人は飽きずに読めるのですが、本来の掲載誌の年齢層の読者はどう思って見ていたんだろうということが気になってしまいました……。そう思うと、タレちゃんや美樹ちゃんの能天気な様子や、不良たちとの掛け合いはやっぱり大事な要素だっただろうな、と思いました。また、混乱して逃げ惑ったり凶悪すぎて悪魔と大差ないのでは? みたいな人間たちに比べると、相対的にサイコジェニーさんたちのほうがよっぽどしっかりしているように見えてしまうので、もしかしたら子どもたちにも彼らは人気だったかもしれないな。と思いました。

名セリフ

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