こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2022.11.30タヌキたち本来の素朴な感情が大爆発するお祭りの描写がよかった
良いと感じた点・楽しめた点
私の家の周りにタヌキが出るんです。東京なんですが……。猫だと思ったらハクビシンだった! ん? 道の左にいると思ったら、右にもいた! 2匹いる! つがいのハクビシンだ! ということもあるのですが(ハクビシンはペアで行動するそうな……)、タヌキも数回見たので、タヌキもいるようです。調べているとタヌキかわいいなあ、という気持ちになって、こちらの作品を視聴しました。
なお、タヌキはイヌ科だけど人間にはほぼ懐かない動物で危険だし、法律で保護されているので基本的には飼えない生き物だそうです。
この作品では、特にどのタヌキのキャラがお気に入りということはないのですが、タヌキのずんぐりむっくりしたイメージを美化洗練させたりせずに、ユーモアを最大限膨らませているところがいいと思います。個人的にはイケメンタヌキなどよりも、小さくてかわいいタヌキのキャラがわちゃわちゃしているのを見るほうが好きなので、味のある大人のタヌキのキャラもいろいろ出てきてにぎやかですが、かわいらしいキャラもたくさん出てくるのが良かったと思います。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
これは私の側の問題でしかないのですが、この作品は登場人物が多く、しかもそのほとんどに豪華キャストがついているのがおおきな目玉のひとつだったと思うのですが、私がTVをもっていなくて芸能人に超疎い生活を送っているので、出演者リストを見てもだれがだれかわからず、本編を見てみると声だけの出演なので、さらに誰が誰かわからない……、という視聴者の私側の問題があって、本来のこの作品の価値と魅力を十分に受け取れていないようだ、と思いました。
ただ、そこはわからなくても十分ついていける内容だったので、作品自体の鑑賞には支障はなかったです。味のある声と演技の人が何人もいるので、いったいどんな人が演じているんだ……、と気になってしまうということはあったかもしれません。
総評・全体的な感想
この作品は冒頭から結末までみどころがてんこ盛りにありすぎて、どこから書けばいいのかわかりませんが、中盤で一度お祭り騒ぎになって我慢していたタヌキたちの気持ちが大爆発してもみくちゃの大騒ぎになっているシーンがあったと思いますが、私にはこのシーンがもっとも印象に残りました。人間や物への変化とか、百鬼夜行とか、古狸の大変化とか、すごいスペクタクルなアニメならではの演出が山ほど詰まっているのですが、映画の中では「自分たちの暮らす場所を守るためのたたかい」という本筋が中央にあるので、基本的に狸たちはその運動に一致団結して取り組んでいるのですが、本当はみんなそれぞれの思いがあって、そこを我慢して力を合わせて頑張っているのであって、個々のたぬきの本来のいきいきとした姿がはじけたこのシーンがあるから、この暮らしを失いたくないんだな、ということが良く伝わってくるのだと思います。でも、人間がいないと、ハンバーグもコロッケも食べられないよね。という本人たちは大まじめの葛藤が描かれているのも、ユーモラスで良かったです。