こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2022.11.30日本語訳がすこしビミョーで下ネタにはぎゃん引きだけどよく見ると実はいい作品……かも
良いと感じた点・楽しめた点
私がこの作品を視聴したのは、2020年ごろだったと思います。
映画には疎いので、長いことこの映画の存在も知らなかったのですが、私が日本語吹き替えの俳優さんのファンで、その人の出演作リストの中から発見した形でした。概要を調べて
「うーん……好みじゃない……」
と思いましたが、
「たまにはいつもは見ないような作品にもチャレンジしてみよう!」
と考え、視聴することに決めました。
その点では、なかなか拝めない貴重な役柄だったこともあり、めちゃめちゃよかったです。ファンにとってうれしいセリフをたくさん言ってくれていて、その点の満足度は100%でした。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
日本語訳があまりよくないようで、「自閉症」を「ひきこもり」と訳していたのが気になってしまいました。えっ?? さすがにそれは……いつの作品だっけ? と思って確認してみたら、2009年ということで、そんなに古い作品でもないと思い「うーん……」となってしまいました。
総評・全体的な感想
元々あまりTVや映画を見て笑うタイプの人間ではないし、「タブーに挑戦!」みたいなコンセプトにもあまり賛同できないと思ってしまうタイプの人間なので、最初から笑おうと思っていなかったのですが、視聴してみると、いろいろな意味ですっかり笑う気持ちではなくなってしまいました。主人公の「ブルーノ」の言動が、私の知っているある人(職場の人ではないです)の言動に似ている気がしたのです(あくまで私の主観で『そんな気がした』だけです)。
その人はとてもアクティブな人で、いつもすごくたくさんの趣味にチャレンジしているのですが、「有名になりたい!」「成功したい!」という気持ちを持っていたようで、色々な界隈に首を突っ込んではトラブルになって叩き出される……ということを繰り返しているようで、私はというと、その人がなんとなく気になって、ずっと見守っていたのです。なぜその人が気になっていたかというと、その人はいろいろ頑張っても不思議に裏目に出てトラブルにはなってしまうかもしれないけど、努力を継続できる人で、「作品を発表する」という形でたくさんの実績をたしかに作ってはいたんです。
私にはその人の努力や実績がどうして評価されないのかわからなくて気になっていたのですが、「ブルーノ」でその人に妙に似通ったタイプの主人公が描かれているのを見て衝撃を受け、いったいどういうことだろう……? と思っていろいろ調べると、主演で監督でコメディアンのサシャ・バロン・コーエンの親戚のサイモン・バロン・コーエンという方が有名な心理学者だということがわかりました。
「ブルーノ」というキャラクターは、「ボラット」などと同様、監督が演じるために創造した何人かのキャラクターのうちの一人ということらしいのですが、監督自身も心理学などの教養を前提にしたバックグラウンドがあってこのキャラクターを作り上げたのであって、単なる「バカキャラ」ではないのかもしれない……、という気がしました。また、そう考えると、私の気になっている人に似たタイプの「ブルーノ」が、いろいろなことにチャレンジして失敗したり挫折して、周囲からの理解がなかなか得られなくても、たった一人でもどんなときも絶対に支持してくれる理解者を得て、幸福を手に入れる祝福のストーリーなので、最終的には「あれ? これはバカ映画なんかではなくて、実はふつうにとてもいい作品なのでは?」と思うようになりました。
なお同じ主演の「ボラット」は未視聴なので、いつか機会があったら観てみたいと思います。