こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2022.11.29これは良書
良いと感じた点・楽しめた点
これはネットで評判を調べても評判が良く、実際に読んでみて自分も「とてもいい」と感じました。新書なので薄くて軽くて比較的安価で読みやすいのも人に勧めやすくていいと思います。ハラスメントをテーマにした本でも専門家向け、事業者向け、労働組合の人向け、民間企業で担当している方向け、現場でいきなり兼務で任命されて慌てている人向け、ふつうの労働者向けなどいろいろあることに気がつきましたが、この本は最後の労働者向けの親身な内容になっています。あー、だからネットの口コミの評判が良かったんだな。働く人に希望を与えてくれる本なのだな。ということは、高評価している人は事業者側の方ではなく、働く側の人なのだな。と思いました。
とくによかったと思った点は、わりと先に進んだことを指し示してくれている部分です。私はいじめハラスメントには関心があるほう?で、読めるものがあったら読みたいほうなのですが、えっ、それはぜんぜん知らなかった! いままでの自分の理解のなかで誤解している部分、間違えて理解している部分があるなあ、と思える部分に出会えた点です。とくに「セクハラとパワハラはわけない方が良い」という指摘は参考になりました。女性の被害に別の名前をつけて区別してしまうと、女性の被害だけを軽視する結果を導いてしまうリスクがあるといったようなことだったと思います。男性の学者なので「女性のハラスメント被害を分けて扱ってはならない」理由は「女性のみ優遇がまかり通ってしまうリスク」という指摘なのかと思ったら、ぜんぜん違うことを言っていて、ハー! と思いました。
また、私は役職・腕力・知力・人数といったなんらかのパワーバランスに不均衡があるところでだけハラスメントが起こりうるという誤解をしていたのですが、そうではないということもこの本で理解することができました。そもそも、パワーバランス自体が問題なのではなくて、人権に配慮した言動ができているかどうかといった意味合いのことが書かれていたように思います。理解の仕方が間違っていると、保護からこぼれてしまう被害が出てくる、といったようにも書かれており、納得がいきました。
「自分の誤解・無理解、それが原因となって自分も気づかない暴力を自他に振るってしまう」ということの防止は、私がほしいもののなかでも、もっとも欲しい部類の情報なので、この本は読んで本当に良かったと思います。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
とくにないです。しいて言えば、満足度の高ーい情報に出会ったということは、批判的に見ることができてないということでもあるので、おちついて注意してよく読んで、ネットで批判的な批評やレビューなどもしっかり見て収集しておく必要があるな、と思いました。でも、この本はたぶん実家に持って帰って親兄弟に見せても「いいねこれー!」と好評を得られる予感がしました。
総評・全体的な感想
私はこの本を最近(2022)になって知ったので「こんな素晴らしい本いつからあったんだろう!」と思って調べたら2018年の本で、すでに4年、もうすぐ5年が経過しようとしているものでした。ぜひこの本の著者の最新の情報が欲しいと感じました。