いじめの構造-なぜ人が怪物になるのか
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タイトル通り「構造」を理解する参考になるかもしれない一冊

5.0 46
  • 総合: 5.0点
  • わかりやすさ: 4.0点
  • 文章力: 5.0点
  • ストーリー: 5.0点
  • キャラクター: 3.0点
  • 世界観: 3.0点
  • 演出: 3.0点

良いと感じた点・楽しめた点

タイトル通りいじめの「構造」を理解する助けになる本です。著者は机の上で仕事をするだけではなく、実際にいろいろな場所へ出向いて教育関係者の大人はもちろん、当事者である少年や少女ともたくさん話をして分析をしていて、彼らはこう言動するのは、こう考えているからで、それは彼らの生活している社会がこういう構造だからだ、という形でわかりやすく解説してくれます。

私は子どものいじめの話は、子どもの世界に限った話ではなく、大人の世界にもほとんどそのまま当てはまると思っていて、著者はたしか大人のいじめと子どものいじめの違いの一つで大きな問題となっているのは、子どもの世界は学校という施設に隔離されていて治外法権となっているので、障害は傷害としてきちんと犯罪として扱うようにすることで、「やってはいけないことなんだ」という理解につながる、といったような指摘があったと思います。

また身近では、数年前までは周囲の人の話を聞いていると「私たちが子どもの頃にはひどいいじめというのはたまに耳に入ってくることもあったかもしれないけど」「大人になるといじめってことはないね」「うん、なくなったねー」「大人の世界にはないよね」「そうだねー」という会話をリアルでよく聞いていて、そうかなあ? 宮沢賢治が「竈猫」というお話を書いてたけど、あれは生産性そっちのけで社内いじめに夢中になって、しまいには事業所が閉鎖にまで追い込まれる大人たちの話じゃないのかなあ……、と違和感があったのですが、「パワハラ」といったハラスメント関連の言葉や概念の普及とともに徐々に認識がアップデートされていて、いまは「大人の世界にはいじめはない」という話は聞かなくなったな、と気づきました。

悪いと感じた点・疑問に感じたことなど

現場での対処のノウハウといった使途では「○○だったら○○する」といった実践的な指南書というようなものではないので、具体的な対処法は各自でノウハウを蓄積していくしかないのだと思いました。ただ、構造がわかると効率的なアプローチにもたどり着きやすいのだとすると、こういった理解の仕方自体は、きっと助けになるのではないかなという気はしました。

総評・全体的な感想

この著者の本は何冊か読んでいますが、この本を参照することが多めな気がしたので、こちらのレビューを優先して書くことにしました。私がはじめてこの本を読んでからもけっこう時間が経過しているのですが、初めて読んだころと現在とで、世の中があまり変わっていない部分が大半かもしれないですが、確実に変わった部分や、変わってきている部分というものがあるのかもしれないと感じました。

世の中の人々の考えがアップデートしていくのを見守っていると、すごく時間がかかったりしてもどかしい気もしますが、確実に良い方向になにかが変わっているのだとしたら、素晴らしいことだと思いました。

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