こちらのレビューは、一部ネタバレを含む可能性がございます。ご注意のうえ閲覧ください。
2022.11.29戯曲集を読んだのは初めてで新鮮でした
良いと感じた点・楽しめた点
この本は、演劇の脚本になるお話がいろいろ入っている本でした。
私は演劇とか舞台といった文化からはだいぶ無縁の生活を送っていて、たぶん子どもの頃に親が市民会館でやっていたキャラバンかなにかのピーターパンなどの子供劇を見たかもしれないぐらい、無縁です。
なので、そもそも「戯曲集」という形態の本が存在すること自体を知らなくて、本を読みながら、話の本筋もそうですが「へー!」「へー!」と感心しながら読んでいました。舞台の端から俳優さんが出てきて動き回ったり、ジェスチャーで表現する様子なども描かれていて、途中には実際の舞台の写真のようなものもいくつか挿入されていました(劇のタイトルで検索してこの本を見つけたので、前後のことをなにも知らずに読んでいてすみません)。とても新鮮な気持ちで読めました。
悪いと感じた点・疑問に感じたことなど
とくにありませんでしたが、この本には2つのお話が入っていて、前半に「食卓秘法・溶ける魚」というお話が入っていますが、タイトルの表記がWebの口コミだと書きにくいと思いました(1982年なので仕方ないですね)。「食卓秘法」の「秘」の字は「丸のなかに『秘』」と書いてあり、ふりがなに「てえぶるまなあ」と振ってあるんです。
なお個人的には恋愛や殺人の劇よりも、ほのぼの(?)した内容のほうが好きなので、きょうの仕事を切り上げた「うなぎ壱」と「うなぎ弐」がたのしく晩ごはんの話をしているこちらの方が愉快な気持ちで読めました。
総評・全体的な感想
この本が発売された1982年、私はいちおう生まれていましたが、当時はまだちいさくてこの作品をリアルタイムでは知らなかったので、だいぶ後になって探し回って古書でやっとみつけてきました。巻末にはいつ、どこで上演されたかや、スタッフ名や、役名と出演者名が並んでいました。私はあるところで「戸惑いの午后の惨事」という作品名だけをみつけて探し回ってやってきたので、前後の文脈がぜんぜんわかっていないのですが、当時この本を購入された方は、舞台を実際に見に行って、観劇をして、その後もいつでもその劇の内容を振り返れるように、この本を購入したのかなということを思い浮かべました。私はなかなか芸能関係のことには関心を持てないで生きているので、こういう生活もいい思い出になりそうで素敵だな、と、うらやましく思いました。